3つのR


 皆、それぞれに家庭をもって忙しくしている。だから龍さんのお店にもいけそうになかった。

「あーあ」

 ・・・女の子は多少ワガママでも、正直なほうが―――――――――

 まるで私の命題ね。そう思って苦笑する。

 正直か・・・正直にもっと早くなれていたなら、彼と離婚しなかっただろうか。そう考えて、私は首を振った。いや、そうじゃなかったんだ。何かがずれていたのだろう、あの人とは。だからあれは遅かれ早かれそうなっただろうと思う。

 だけど、今からは違うんだぞ、私。

 もうちょっと積極的に、体力を作りながら、毎日を楽しむんだ。


「じゃあ行ってきまーす」

「はいはい、気をつけて」

 ゴミを拾いに行きだして、1週間が経っていた。

 最初は姉は呆れたのだ。物好きねえ・・・って。だけど、私が毎日決まった時間に朝と夕方家を出ることは、彼女の気晴らしにもなるようだった。持ち帰ったゴミの分別が大変だわって文句をいう時もあるけれど、最近はそれすらも楽しそうにしている。

 多分昨日の夜に騒いでた高校生たちが散らかしていったのだろうお菓子の食べかすを見て、へえ、今はこんなお菓子があるのねえ!なんて言っているし。


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