3つのR


 ゲートボールのおじいさん達が引き上げて、そろそろ赤ちゃん連れのお母さん達がベビーカーの団体さんで現れてくる時間だった。私は擦り寄ってくるクリちゃんの頭を撫でていたけれど、さて、と言って立ち上がる。

「じゃあ、失礼します」

「あ、はい、どうも」

 彼もハッとしたように頭を下げてくれる。私はもう一度柴犬のクリちゃんに手を振ると、のんびりと家に帰った。

 そんな風にして、私には朝の公園で少しずつ知り合いが出来ていったのだ。

 それは夕方の川原も同じだったけど、川原よりは公園の方が人々は皆フレンドリーだった。河川敷はゴミもそんなになかったので、どちらかというと散歩が主になっているからかもしれない。

 朝起きて、朝食を食べ、それから支度をして公園のゴミ拾いに出かける。戻ってから楽な格好へ着替えて、朝の間に湧いてきたアイディアを形にするべく努力をする。それから事務と雑用。お昼を姉と食べて、また仕事に戻る。3時にはお茶を淹れて体をほぐし、それから4時までには歩いて川原まで行って散歩兼掃除をしていた。

 実に充実していた。私は桜の花びらが完全に散って若葉が出る頃には、もうその生活に慣れてしまっていて当たり前のようになっていた。

 話す人も同じメンバーが増えた。通勤電車などと違って基本的には皆時間のある人達ばかりだから、話も弾みやすかったのだ。その中にはあのクリちゃんを連れた男性も入っていて、かなり話す時間も増えていたのだった。


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