ラベンダーと星空の約束
「自分で言ったんなら仕方ないよな〜」
そう言って流星は説明を始めた。
「俺さ…心臓の手術3回してるんだ。
んでもって、一生、免疫抑制剤を飲まないといけないから…感染には要注意なんだ。
ただの風邪も小さな怪我も、命取りになる恐れがあるから…
キスしない主義なんて格好つけたけど、本当はそう言う事情」
言い難そうな喋り方…
本当は言いたく無かったのにと、言われた気がした。
今の説明の、ある言葉が引っ掛かっていた。
“免疫抑制剤”
その言葉は医療物のドラマに出て来た気がする。
文字通り、自分の免疫力を抑える薬だ。
臓器移植後の拒絶反応を抑える為に、自分の免疫を弱める薬…
その薬を一生服用すると言うことは…
そう考えて結論を口にした。
「心臓移植…」
「あ…分かっちゃったか。
あ〜あ」
頭の後ろで手を組み、流星は段ボールの上にごろりと寝そべった。
流れる一ひらの雲を見つめ、細く長い息を吐きだしている。