ラベンダーと星空の約束
5年前、流星から聞いた病名は“心臓弁膜症”
正常に機能しなくなった心臓弁を、人工弁に取り替える手術が必要だと、本に書かれていた。
それを調べたのは、自分を安心させる為。
心臓の弁を取り替えたら、流星は健康体に戻れる。
走ることも出来るようになる。
そう自分に言い聞かせ、会えない日々の不安を紛らわせてきた。
でも実際は…
流星の病状はもっと深刻だった。
1回目2回目と手術を重ね、それでも改善せずに移植を受けていたんだ…
言葉を無くし、流星の胸元をじっと見ていた。
今流星の中で動いているのは、提供してくれた誰かの心臓……
私の顔色を見て、流星が気まずそうに喋る。
「あ〜そんな顔しないでよ。
まいったな……こんなヘビーな話しをされたら、やっぱり引くよね?」
「引かないよ…少し驚いただけ。
引いたりするわけないじゃない。
もっと詳しく教えて?
病気の事も手術の事も、流星の全てが知りたい……」