ラベンダーと星空の約束
目の前には露わにされた裸の上半身。
流星が見せたがらない、大手術の痕跡がくっきりと刻まれている。
「ゆかりちゃんは狡いな…
俺は全部見せたよ。
この傷痕も、苦しんでいる心も全部。
それなのに、君は心を見せてくれないの?
向き合うって…逃げないって…言ったじゃないか……」
「流星…」
「なぁ…いつも付けてるネックレスは、何で外してるんだ?
俺に見せたくないから?
あのペンダントトップ…見せて欲しいんだけど」
訝しげな視線を向けられた。
いつもの優しい瞳は、今は鋭い光を放ち、
何かを探り出そうとしてくる。
堪らず目を逸らしてしまった。
私は流星から逃げずに向き合って……
でも、その向き合い方は独りよがりだったのかも知れない。
流星に辛い過去を話させ、満足していたのは私だけ…
どうしよう……
言葉に詰まり震えていると、流星の瞳から厳しさが消えた。
「ごめん…そんな顔しないでよ…困らせたかったわけじゃないんだ。
俺さ…君が紫(ムラサキ)ちゃんだといいのにって…思い過ぎたせいで、最近少しおかしいんだ。
何でもかんでも君と紫(ムラサキ)ちゃんを結び付けてしまって…
君の瞳の色まで紫色に見える。俺ってかなり重症かも。
ごめんな?君はあの子じゃないのにな。
責める様なこと言って、本当ごめん…… 」