ラベンダーと星空の約束
真っ赤な顔で俯きながら気付いたことは、
私って…流星のエロ行為に流され易くなってる?
自重しないと……
◇
の後片付けを終えて皆が部屋に引き上げた後、
私は一人庭で佇んでいた。
柏寮は斜めに差し込む夕暮れの光に包まれて、
ぼんやりとした温かく優しい雰囲気を漂わせていた。
ああ…
夕暮れの柏寮って本当に綺麗……
入寮初日もこんな風に、
オレンジ色に染まる古い木造の建物を、美しいと感じていたんだ……
周りを囲む近代的なマンションの中で、
昭和で時が止まってしまった様なこの建物は、
どこか懐かしい香りが立ち込め、心をホッとさせてくれる。
フラノの景色が一番綺麗だと信じてきたけど、
東京にも美しいと感じる物が確かにあった。
そうだ!
家族と大樹へのお土産に、柏寮の写真を写して帰ろう。
思い立って一旦自室へ戻り、
フラノで愛用していた一眼レフカメラを持って来た。
夕日に染まるノスタルジックな柏寮に向け、何枚もシャッターを切った。
やっぱり写真を撮ることは楽しい。
フラノでは商用に、
カレンダーやポストカードにする風景写真ばかり撮ってきたけど、
こうやって利益を考えず、
ただ心の赴くままに、被写体に向き合うのは心地好かった。
夢中でシャッターを切り続けていると、
フレーム越しに流星の姿が見えた。
一階の廊下の窓を開け、手を振っている。
あっ…流星も写しちゃった。
人物は入れるつもりは無かったけど…まぁいいか。
「ゆかりちゃーん、これあげる!」
呼ばれて窓辺へ歩み寄る。
流星が片手にヒラヒラさせている、映画のチケット大の紙切れを受け取った。
それには綺麗な手書きの文字で
『夏の星座観測ツアー御招待券』
と書かれてあった。