ラベンダーと星空の約束
 


そう言うと、流星は一瞬真顔になる。




「マジで?俺と気まずいからって言う理由なら止めてよね。

本当気にしなくていい事だから。

それに…ゆかりちゃんの親って金持ちなわけ?」



「え…?金持ちではないよ?

特待生じゃないと、この高校には入れなかったし…」



「それなら辞めるのは無理だよ。

知らなかったみたいだけどさ、

特待生で中退したら、3年間分の正規の学費を一括で納入する決まりなんだよ」



「し…知らなかった…辞めるのは…無理……

じゃあ、せめて柏寮を出て……」



「それは可能だけど、この辺りの賃料知ってる?

家賃無料の柏寮を出て、どこかのアパートに住むとなると、

今の仕送りプラス一月5〜6万は必要になるよ?

北海道の家賃と比べ物にならないから」



「5〜6万……無理みたい」



「俺の事ならマジで気にすんの止めてよ。

俺じゃなく大樹に気を遣ってんのかもしれないけど、
君にはもう手は出さないからさ。

声掛ければまた遊んでくれる女の子がいるからって、大樹に言っといて?」



「う…ん…」





私は卒業まで柏寮を離れられない。


それが分かってホッとしたような、苦しい様な複雑な気持ちになった。



柏寮と言う繋がりを絶たなくていいのは、正直嬉しい。


でも…流星が私に手を出さないと言っても、大樹は心配し続けるだろうし、

私への想いを失った流星の側にいるのは…私が辛い……



私を想い続けてくれるのも辛いけど、

何とも思われなくなったのも悲しい……



はぁ……
私って本当…どうしようもない奴……




< 301 / 825 >

この作品をシェア

pagetop