ラベンダーと星空の約束
 


フラノに帰ったら、大樹に全てを話さなくてはならない。



それは避けられない事だけど…

話しを聞く大樹の顔を想像すると、息が出来なくなりそうだった。



今まで大樹の気持ちに気付かず傷付けてきた。


それから大樹を選び一時の喜びを与えておきながら、

今度はどん底に突き落とす事になるのかな……



大樹は深く傷付くだろう。

その後は…二度と会ってくれない……



大樹のいない人生って…どんな感じ?


16年間いつも私の横にいた大樹がいなくなる……


上手く想像出来ないけど…
凄く怖い……



3日後の冬休みにフラノに帰るのが…

大樹と話すのが…

怖い……



ぶるりと身震いし自分の体を抱きしめると、布団の中で何も着ていない事に気付いた。



まだ眠っている流星はいつの間にかパジャマを着ていて、私だけが裸のままだった。



恥ずかしいから、流星が目を覚まさない内に服を着てしまわないと……



体に回された彼の腕をすり抜け、ベットから下りた。



真冬の朝の空気は冷え込んでいるけれど、

低めに温度設定されたエアコンが、時折唸り声を上げ温風を吐き出してくれる。

流星の部屋は私の部屋に比べ、遥かに温かかった。



昨日の服を探すときちんと畳まれ、机の上に重ねて置いてある。



流星ったら…下着まで綺麗に畳んでくれてる……



私の下着を畳む流星の姿を想像し、また顔が赤くなる。



それに手を伸ばそうとして、横に置かれた自分のスマホに目を奪われる。

下着ではなくスマホを手に取っていた。



「これって……」



手に取ったスマホを裏返すと、いつの間にか綺麗なハードカバーが付けられていた。



光沢のある藍と紫の中間色の地に、小さな星が散りばめられたこのハードカバーには見覚えがあった。



瑞希君とショッピングに行った時、流星にピッタリだと思い目に留めた物の隣にあった、色違いのハードカバー。



流星用に買った方には

『FRN.01 プルシャンブルー・星空』

と書かれてあり、


これには確か…

『FRN.02 コバルトバイオレット・星空』

と書かれていたと思う。



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