ラベンダーと星空の約束
勝者は田島君なのに、
やっぱり歓声と拍手は流星に向けられていた。
「大ちゃん頑張ったねー」とか
「感動しちゃったー」なんて言う声が聞こえて、
周りの女子も、流星を分かってくれてる気がして嬉しかった。
上機嫌な私と瑞希君。
流星の初体育祭祝いに、今夜は焼肉にしようと相談していると、
難しい顔した流星が、こっちに向かって歩いてきた。
フェンスを挟み、眉根を寄せた流星と向かい合う。
「大ちゃん、変な顔してどしたのさ?」
「流星、凄く素敵だったよ?
負けたけど、そんな顔しなくても…」
「いや…勝てないだろうと予想してたし、勝敗は初めから気にしてないから…」
だったら、何でそんな顔しているのだろう。
流星は不機嫌とも取れる表情で腕組みをし、何かを考えていた。
そして「そうか…」と呟き、
フェンスをガシッと握りしめた。
鋭い視線が瑞希君に向けられる。
「瑞希、試合中に紫に何かした?」
「え…えーと…何の事か僕にはサッパリ…」
「2ゲーム目の途中から相手の様子が変わったんだよ…
俺の後ろの何かに、気を取られていたみたいだけど…?」
「き…気のせいだよ…
やだな〜そんな怖い顔しないでよ〜あははは」
「そうか、気のせいかーハハッ………なんて、笑ってごまかせると思うなよ…
なぁ、何で紫にチアコスさせてんの? 」
「それは…目立たせて、大ちゃんが紫ちゃんに気づきやすい様に…」
「へえー目立たせる為のコスプレかー。
でもさー、俺が見えない位置でチアコスさせて意味あるのかなー。
本当は誰に注目させたかったのかなー。
アイツって、前に紫に告ってた奴だよね?
紫のコスプレ姿、さぞ嬉しかった事だろーなー。
しかも途中から明らかに様子が変になったって事はさ…
チアコスで注目させた後、紫は何かアイツが気を取られる状態になってたって事だよね?
紫?瑞希に何されてた?
まさか…あんな事や、こんな事や、そんな事を……」
「ちっ違っ、流星違う!
そんな変態な事されてない!
スカート捲られただけ…あっ…」
「紫ちゃーん!
大ちゃんには言わないでって約束したのに、何でバラすのさ!」
「ごめ…」