ラベンダーと星空の約束
 


「病院に行く!

行ったって何も出来ないけど、迷惑かも知れないけど、じっとしていられない!

流星がどうなってるのか確かめないと、私…」




「分かったから落ち着いて。

病院に確かめに行くから。
ただし僕だけね」




「何で!?私も…」




「落ち着きなって…ほら座って。

紫ちゃんはまだ治ってないでしょ?

熱はいつから出たの?
まだ外出禁止期間中じゃないの?」




「あ…そうだった……」





興奮気味だった私は瑞希君に言われ、まだ外出してはいけない事を思い出した。



瑞希君より2日遅れて熱を出した私は、後2日間は柏寮で大人しくしていなければならない。




「大ちゃんは心臓の関係もあるから、入院してるとすれば、いつも通院しているあの総合病院だと思う。

僕が行って様子を見てくるから、君は待っていて」




「うん…お願い」




「きっと大丈夫だよ。

こんな長文のメールを打てるくらいなんだから。
念のための入院って所だと思うよ?

だからさ、そんなに不安にならないで。

大ちゃんだって、君にそんな顔をさせたくないから、嘘付いたんだと思うよ?」





瑞希君は脱いだばかりのコートを着直すと、

流星の掛かり付けの病院へと出掛けて行った。




『念のための入院』

瑞希君のその予想は正しいのかも知れない。



だけど私は、どうしても楽観的な方へと考えを向けられない。



今頃高熱にうなされているかも知れない……

咳込んで呼吸が苦しいかも知れない……

移植された心臓が、悲鳴をあげているかも知れない……



怖くて怖くて、堪らなかった。



何本もの点滴に囲まれ、酸素マスクをしながら、病院の白いベットに横たわる流星の姿を想像してしまう。



瑞希君が出て行って一人になった部屋の中、

膨れ上がる不安に押し潰されそうになっていた。



流星の香りのする掛け布団を抱え込み、葛藤する。



流星は私がこんな風に過剰に心配する事を懸念し、嘘を付いたんだ。



正直に入院したと言えないのは私のせい。



流星に治療に専念して貰うには、私がもっと気持ちを強く持たなければ。



心配し過ぎてはいけない。

流星は大丈夫、きっとすぐに元気になって帰ってくる。




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