隣の伊東くんは小学生





「ん?あれ小学生?」




校門がすぐ近くのところへ来た時、藍が何かに気づく。


私も藍の視線の先を見る。



と、高校には似つかない、青いランドセルを背負った小学校高学年くらいの男の子が校門の前に立っている。




「珍しいね。この学校じゃない誰が校門にいるなんて。誰か待ってるのかな?」

「さあ?でも小学生だから誰かの弟か何かじゃない?」



藍の言うとおり、誰かの弟ぽい。

お姉ちゃんかお兄ちゃんと会うためにここまで来たのかな。


私は一人っ子だから、兄弟に会いにどこかへ行くことはしたことないけど。



藍には弟がいるけど、今は中3。
ランドセルは背負ってないし、学ランを着てるからあの子は藍の弟ではない。

だからあの子は私達には関係ないからそのまま素通りしようと校門を通る。





けど、





「篠田麻衣さん」




不意に誰かに呼ばれてしまった。





呼ばれた方の後ろを向くと、ランドセルを背負った男の子が私を見ていた。



今呼んだのってこの男の子?




「麻衣、この男の子と知り合い?」

「いや、違うと思うけど……」



藍が横から私に聞く。

けど私には分からない。
知り合いに小学生なんていないはずだから。

親戚の子供は私より上か、赤ちゃんのどちらかだから小学生はいないはずだし……。

さっきのは空耳だったかな?
 


でも男の子は私の方を見たまま。




「篠田麻衣さん、ですよね?」



男の子はさっき聞いた声と同じ声で私の名前を言う。


どうやらさっきのは空耳ではなかったようだ。


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