初恋が君だなんて、ハードルが高すぎる。
「帰らないの?」
不思議そうな表情の南雲くんに、一緒に帰っていいんだ、と思って慌てて自分のバッグを掴んだ。
だけど、今日はいつもの倍くらい重たいバッグに振り回されて、
「っ、わ」
トン、とよろけた拍子に南雲くんにぶつかってしまった。
「わ、ご、ごめんなさっ…」
恥ずかしくて、顔も見れずに謝る。
と。
ふわり、と軽くなった右腕。
見ると、南雲くんの肩にかかる私のバッグ。
「えっ…私、持てるよ!」
自分の荷物だってあるのに、待たせちゃったのに。
申し訳なくてバッグを取ろうとすると、
「いいよ、北山さん、また転びそうだし」
「こ、転んだわけじゃ…」
恥ずかしい、よろけただけだもん。
顔が赤いのが自分でもわかって、俯くけど。
クスっと笑った声に驚いて顔を上げる。