スカーレットブルー
プロローグ

『最初から追いかけられていますが……』


ありえない!
あっちゃならないし、あっても困る!!


短い紅髪をあらんかぎり揺らして、ついでに立派な胸も揺らして、全速力で逃げていた女性の後ろからは鬼気迫る様々なドラゴンたち。

鋭利な牙と、これっぽっちも傷つけられる自信がない屈強な蒼や朱の鱗、羽ばたけば易々と飛ばされそうな二枚の翼。


なんと言っても、そのデカさがありえない! パッと見十メートルの高さとか前代未聞だよ!!


「なんでこんなことに!」

「全面的に姉ちゃんが悪いよね!?」


紅髪の女性に突っ込みを入れてくる金髪の少年は、同じく全速力で逃げているのだが、体力がないためにどんどん追い詰められている。

そんな少年をひょいっと担ぎ上げ、片手に大剣を携える青髪を後ろに撫で付けた男が、隙を伺いながら紅髪の女性を追い抜いていく。


「テメェが龍の金卵に手を出そうとするからだろうが!」

「うむ。フォロー出来ぬな」

「うっさい!」


紫の短髪を跳ねあげ、木から木へ飛び移る目付きの悪い青年が怒鳴り、青髪の男がそれに賛同するが、私は悪くないと紅髪の女性は断固として認めない。

普通の人間なら、目の前に金色の卵が広がっていたら、手を出したくならない? ドラゴンがいたらしないって? ご最もで。

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