華は儚し

―――



自分の部屋に戻ってみれば、

何ら違和感がないように居座っていた、

桐里が茶菓子を食べている。


「お帰りなさい、宗十郎様」


劇場の客間にいなかったのは、

戻っていたからか。


「桐里…

それほど俺はお前に依存している、

いなくならないでくれ」


「吉宗様の意見に逆らうことなど不可能です。

それに私は、

もう貴方様だけのものではございません」


「…どういうことだ」


桐里を捕まえ首筋から下へと視線をおくれば、

男が付けた跡を見つけてしまう。
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