華は儚し
第十七華 貴方様を愛した責任を負う


―――


いつの間にか私は寝てしまい、

布団にいることに気付くのです。


きっとこれは宗十郎様ですね。


「桐里、

いつまで寝ているのですか。

起きなさい」


戸口に絵島様がいらっしゃり、

急いで支度をしまして、

会えぬことに名残惜しく思ったけれど、


「ありがとう、絵島殿。

私と桐里を面会させてもらって」


隣にあの方がいらっしゃるのです。


「宗十郎様!」


駆け寄るところで足をひねらせてしまうと、

咄嗟に体を支えられました。


「危なっかしいな」


口を隠すように笑った彼に

ときめく私がいます。


「可愛らしいです」


「…男の私が可愛いといわれても

嬉しくはないぞ」


「えっと…

私は今の宗十郎様に

ときめいてしまいました」


私の心臓と彼の心臓の距離が近くなり、

鼓動が二人合って、


「次会えないかもしれないですが…

心を交換し合った仲です、

繋がった絆を切ることなどできません」
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