華は儚し

―――



昨日の出来事はとても充実していて、

水の中で優雅に泳ぐ小さい金の魚が可愛らしくて、

ひとりぼっちではなくなりました。


「…秋良様…」


この子を見つめていて、

秋良様が入ってきていたことに

気付かず焦っていましたら、


「これは何だ」


「…ええっと…、

その…昨晩にお祭りに、」


「目障りだ、捨てろ」


女郎たちが金魚を取り上げたので

返してもらおうと立ち上がったところ、

秋良様の指が私の口に入り込み、

異様な羞恥心に侵されました。


「出歩くことは仕事の一部だ。

だが、

儂の見えるところに


男の贈り物を置いて見せるな。

次は、ないぞ」

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