華は儚し

休むことを言われましたので、

下を覗いてみました。


とても広い世界で、

笑った顔をした町人の高らかな声が

うっとりしてしまうほど素敵で、

仲に入ってみたいと、


願望が増えてしまうことに

恐れてしまうのです。


「…あの方は…っ宗十郎様…」


桐島園の入り口の横の団子屋に

二人の男女が寄り添いながら、

微笑み合っていてお互いを

想い合っているのでしょうと、

思うのですがその二人のうちの男性が、

宗十郎様でした。


ずきん、

と痛む胸が張り裂けそうな病気に

襲われてしまっているようです。
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