イケナイ狼君の××。


俺を満たせ…?
はいぃぃぃぃぃぃ!?

一気に体温が上昇する。


「で、できないできない!」

「お前が満たしてくんねぇんなら、タバコはやめねぇ」


コウはどさっとソファーに寝転がった。

み、満たすって…!//


「じゃ、じゃあコウ!」

「なんだよ?」

「満たすって例えば何をしたらコウは満たされるの?」


思い切って聞いてみた。


「そうだな…
例えばー…」


次の言葉を緊張しながら待つ。


「…俺の彼女になるとか」

「え?
冗談キツいよコウ!」


何を言うかと思ったら、そんな現実離れしたこと言われても!
私に彼氏なんてできるわけないし!
それに恋人ってお互いが好きでなるものだよね?


「他には?」

「あっさり受け流された…
結構ガチで言ったんだけどな…」

「ん?なんか言った?」

「あ、いや!
なんでもねぇよ」


様子がおかしい。

なんか言ってたような気がしたんだけどなぁ…


「んじゃあ違うことだろ?」

「うん!」

「そうだな…
俺の専属秘書になれ」

「うーん、でも私仁の専属でここにこれたからなぁ…」

「仁には俺から話はつける」

「も、もっと違うこと!」


咄嗟に仁の名前が出てきた自分に驚く。

なんか私すっかり仁に飲み込まれてる気が…
き、気のせいにしとこ!


「それじゃ、他のとこ行っても必ず朝は俺に挨拶しに来い」

「わかった!」

「それと、昼飯は一緒に食べる」

「うん!」

「あと、俺の部屋片付けてくれ」

「うん、わかった!」

「あとは…俺と毎日キスしろ」

「わかっ…えぇぇぇ!?」

「チッ…あと少しだったのに」


き、キス!?
無理無理!
外国人じゃあるまいし!


「無理なのか?」

「無理だよ!無理無理!」

「…そっか。
そんなあからさまに否定されると傷つくな…」

「ご、ごめんコウ…」


肩を落としてがっくりするコウの肩に手を置く。

そこまでがっくりされると悪いことした気分になるよー!

そう思っていた時だった。


「…バーカ」

「へ!?」


チュッ

それは一瞬で終わった。
私は身体が固まって身動きが取れない。


「成功」

「こ、コウ…」


触れるくらいの一瞬で終わるキスを私にしたコウ。
それを理解するのに数秒かかった。


「不意打ちなら問題ねぇよな」

「問題あるよー!!」


真っ赤な顔をしている私を見て笑うコウ。

もう、コウのバカ…!//

でも嫌じゃなかった。
昨日もそうだったけど、今日もそう。
コウにされるキスは心地が良くてなんだか嬉しい。
だからすごくドキドキする。


「どうした?
いきなり黙って」

「な、なんでもない…よ!//」


恥ずかしくなってコウに背中を向けた。


「なんだよ。
俺に背ぇ向けんな」

「ちょ、ちょっと待ってってば!」

「…待てねぇよ」


コウがそう言った瞬間、腕をグイっと引っ張られてソファーへと倒された。
上にコウが乗っかっている。

な、何この体制!?
顔近いよコウ…!//

せっかくドキドキをおさめようとしていたのに、さらに鼓動がうるさくなる。


「いいか…もう一度言う。
俺に背ぇ向けるな。」

「……」

「お前の顔をずっと見ていてぇんだ。
だから背ぇ向けるなんて絶対許さねぇ」

「わ、わかったから…!//
ど、どいてよ…!//」

「…嫌だ」


へ…
今嫌だって…


「ジッとしとけ」

「な、なんで…!」

「いいからお前はジッと俺を見てるだけでいい」


真っ直ぐな瞳に目を奪われて何も言えなくなる。
そしてコウはそっと私のメガネを外した。


「かわいい…ひかり」

「コウ…//」


ゆっくり近づくコウの顔。

コウ…


「…っ!?」

「ん…」


自分でもびっくりするくらい、自然に身体が動いた。


「ひか…り」

「あっ…ごめん…」


私からコウにキスをしていた。
なんで自分からしたかなんてわからない。
本当に自然と身体が動いただけだった。


「お前…」

「……」


ジッと見つめるコウ。
その視線から逃れられない私。
二人の視線が絡まって数秒、コウはいきなりまた私にキスをした。


「んんっ…//」


昨日と今日のどのキスよりの深くて熱いキス。
息がしづらくなる。


「コ…ウ…//」

「はぁ…
ひかり…」


唇を離すコウ。
なんだか私は寂しく感じてしまった。


「お前その顔…やべぇって…」

「へ…?」

「あー…駄目だ。
襲って…いいか?」

「へ…」




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