イケナイ狼君の××。

初めての恋。


ひかりside


次の日

昨日コウとあんなことあってどんな顔して会えばいいの…!

そんなことを朝ご飯を食べながら思っていた。


「ひかり?どうかした?」

「へ!?」


私の様子が変だったことに気づいたのか、陸が私に話しかけてきた。


「い、いや!
なんでもないの!」

「なんかあったら言ってよ?
心配してるんだから」

「うん…ありがとね」


やっぱり陸は優しいなぁ…
ほんと好…


「ひかりに何もあるわけねーじゃん!
地味なカッコしてんだからさ!」

「なっ…!?」


陸と仲良く話していたら、それをへし折るかのように雅哉がそう言った。

いくら兄でも失礼じゃない!?
いつもは私が地味な格好してないって知ってるのに!


「雅哉、それはひどいよ!」

「事実だろ?
ひかりに何かあってたまるかよ…」


いつになく真剣な表情をする雅哉。

あれ…?
なんだかんだ言って心配してくれてるのかな?


「ありがとう雅哉!」

「はぁ!?
なんで礼言うんだよ!」


キツいことを言っていても、内心照れていることは私は知っていた。
朝から幸せな気持ちになりながら、コウに会う決心をつけた。

大丈夫!
平常心だよ私!

そう思いながら玄関を出た。
だけど決心は一気に揺らぐ。


「おはよ、ひかり」

「!?」


またしても玄関の前に高級車を停めた仁がいた。

え!?
もしかして今日も迎えに来てくれたの!?


「何驚いてんだよ」

「だ、だって…!」


昨日もそうだけど、今日も迎えに来てくれてるし…
そこまでしてくれなくてもいいのに…


「迎えに来てくれてありがとう…」

「おう。
早く乗れ」

「うん」


大人しく助手席に乗った。
ゆっくり車が動き出す。


「しかしお前さー」

「な、なに?」


いきなり話をしだす仁。
まだ私が慣れていないせいか、少し身体がビクッと反応する。


「オレと昨日あんなことしたのによく平気な顔してるよなー」

「え…?」


ニヤニヤしながら話す仁。

あんなことって…?


「お前って意外と慣れてんの?」

「な、なんのこと!?」

「ここまで話してんのにシラ切るつもりかよ!」


ほんとになんのことか私にはわからなかった。

昨日昨日…
コウの部屋を掃除してお昼ご飯作って…
コウとキ…//


「おっ、思い出したか?」

「なっ、だから何を!」


照れている私を見ておもしろがっている仁。


「お前とオレは昨日契約したろ」

「へ…?」


契約…?


「お前を絶対オレは落とすってお前と契約したろーが!
そんでキスまでしたんだぞ!」

「えぇぇぇ!!?」


う、嘘!
そんなこと絶対してないよ!


「してないしてない!」

「はぁ!?
お前意外と悪女か!」

「ほんとに何もわからないの!」


私の本気さが伝わったのか、仁はいきなり難しい顔をする。


「マジで言ってんだよな…ひかり」

「ま、マジだよ!」

「……」


信号待ちの時間。
短いはずなのに長く感じてしまう。
仁にジッと見つめられてドキドキと鼓動が鳴る。


「お前さ…」

「じ、仁!
信号!青になったよ!」

「やっべ!」


仁は慌ててアクセルを踏む。

何言おうとしたんだろう…?

それからお互いに気まずくなって、無言で生徒会へと向かった。




























-会計室-


「コウおはよう!」

「んあ…?
おうひかり、待ってたぜ」


会計室に入ると、コウはタバコを吸いながら書類を片付けていた。


「だからタバコ吸っちゃいけないんだってば!」

「俺にはタバコないと生きていけねぇんだよ。
タバコ以外に俺を満たせるものがねぇ」

「そんなぁ」


タバコ身体に悪いのに…

しょぼんとしていたら、コウが何かを閃いたかのように私の肩を掴んだ。


「…いい提案」

「何!?」

「お前、俺を満たせよ」

「…はい?」


一瞬コウが何を言っているのか理解できなかった。







< 24 / 55 >

この作品をシェア

pagetop