田中のくせに!!
意識した瞬間から、なんだか右手が、ジワッと熱くなる。
「今日、あっという間だったね」
「そうですね…!」
水族館デートを終え、手を繋いだまま、アパートへの道を歩く。
…正直、三浦さんの前ではまだ、100%の自分は出せてないし、緊張も大きい。
でも、一回目のデートよりはずっと、距離が近づいた気がする。
文句なしに水族館は楽しかったし、
三浦さんも今日は、変にベタベタしてくるなとか、感じることは少なかったし。
…手は繋いじゃったけど…
でも、人の手って、
…あったかいんだな。
「…送ってくれて、ありがとうございました」
アパートの前について、繋いでいた手をはなそうとすると
ギュッと握り返された。
「…あの…」
「今日、友達はもう帰ってるの?」
そして真剣な顔で、そんなことを聞いてくる。
え…友達?
何でそんなことを聞くんだろうと思いながら、アパートの部屋に視線を向けた。
電気はついてない。
「まだ、帰ってないみたいですけど…?」
田中、今日は岩槻くんの家にDVD見に行くって言ってたしね。
「そっか…」
ちょっと考え込むように視線を伏せた三浦さんは、でもすぐにニコッと微笑んで、言った。
「じゃぁ家いれてよ」