田中のくせに!!
え…家?
あーそっか!
せっかく送ってくれたんだし、お茶とか出さないと、失礼だよね!?
「全然いいですよ!」
あたしはよく考えもせず、三浦さんに言われるまま、部屋へと導いた。
いつもは田中とあたししかいないこの空間に、三浦さんがいるのが…なんだかすっごく、不思議な感じ。
「すみません、狭いですけど…」
「ふーん、綺麗にしてるね」
部屋にあがった三浦さんが、リビングを見渡してそんな感想を言う。
「そ、そうですか?
あたしは全然掃除しないんですけど、田な…友達が綺麗好きで」
しょっちゅうモノを出しっぱなしにするな、だの、使ったらもとの位置に戻せ、だの怒られてるあたし。
たまに小姑か!と叫びたくなるほど、細かい奴。
「えー?そう?まどかちゃんも、すごくちゃんとしてそうだけどな」
「そ…そうですか?」
あたしはどうやら、三浦さんには凄く女の子っぽい子だと思われてる…っぽい。
“すぐにボロが出るよ、周防の本性なんて”
「あの…あたしお茶いれますね!
その辺テキトーに座っちゃってください!」
田中の言葉が不意に頭の中で木霊して、あたしはそれを振り切るように、慌ててキッチンに向かった。