田中のくせに!!
「田中っ…!!」
リビングの入口のところで
険しい顔であたし達を見ている、田中。
「…お前、誰だよ?」
三浦さんがそう聞くと、田中がグッと眉間に皺を寄せた。
「…それ、こっちのセリフなんだけど。
人んちで何やってんの?アンタ」
私服姿の田中は、乱暴に持っていたカバンを投げ捨てると、ゆっくり、あたし達に近づいてきた。
そしてスッと目を細めて、三浦さんを見据える。
「…その手、はなせよ。
周防に触んな」
その言葉に、三浦さんはあたしと田中を見比べて
「…なるほどね。ルームシェアのお友達って、アンタ?」
蔑んだような視線をあたしに向ける。
「まどかちゃんも、案外小悪魔なんだなぁー…その気にさせといて、実は男と住んでるとか」
「…ちょっと、別に田中はそんなんじゃ…!」
「つべこべ言ってねーで早くはなせよ!」
明らかに怒りを含んだ田中の声に、部屋がシン――と静まった。
「そんで早く出てけ…すぐに警察くるから」
「は!?」
瞬間、三浦さんはバッとあたしの腕をはなして。
「お前…!」
「とっとと出てけ不審者。それでもう二度と周防に関わんな」
悔しそうに顔を歪ませる三浦さん。
「…ハッ、こんな暴力女、頼まれたってお断りだよ」
三浦さんがあたしを振り返る。
それは、今までに見たこともない、冷たい瞳で。
「押せば簡単にヤらせてくれると思ったのに…期待はずれだった。
誰がお前なんかに本気になるかよ…じゃーなブス」