田中のくせに!!




「まぁ…確かに酷いけど。

でもこればっかりは仕方ないんじゃね?

そんなもんだろ…人の気持ちなんて」




「…そうかもしれないけど」




でも、確かに変わらない気持ちも…あるはずなのに。ていうか、あって欲しいよ。



手元のミネストローネを見つめたまま、一人で悶々と考えていると




「好きでいようと思って…好きでいられるわけじゃないし…


嫌いになろうと思って…嫌いになれるわけじゃない」




田中が急に、ナゾナゾみたいなことを言い出した。




「…田中?」



「…えっ?

あ、あぁ…ごめん、なんでもね」




ハッと我に返って、再び食事を再開する田中。





……あたしのバカ。ナゾナゾなんかじゃない。





“嫌いになろうと思って…嫌いになれるわけじゃない”





たぶん、今のは



…田中の気持ち、 そのものだ。





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