田中のくせに!!
「田中ぁ!!」
家に帰ると
「何?」
キッチンでお玉を持った田中が振り返った。
いい匂い…今日は豚汁かぁ~♡じゃなくて!!
「昼間のアレ!!何!?」
「はぁ?何って何が?」
そして素知らぬ顔で豚汁を味見。
「うん、うまい」
「うまい、じゃなくて!
いきなり岩槻くんと二人っきりになんかするから!
すごい気まずかったじゃん!!」
結局、年上が好きなの?なんておかしな質問をしてしまい。
岩槻くんは何でお前が知ってるの?とでも言わんばかりの驚いた顔をして。
…そこでチャイムが鳴ったのが、唯一の救いだったけど。
「だってお前岩槻と話したかったんだろ?」
「そ…そうはいっても、もっとさりげなく…色々あるでしょ!」
「はぁ?何で俺が周防にそこまで気つかうんだよ、めんどくせー」
そしてお椀出せ、とあたしを顎でつかう。
「…~~田中のバカ!!」
「あ、おい周防…」
バタンッ
あたしは自分の部屋のドアを、勢いよく閉めた。