田中のくせに!!
「…ごめん。今日の昼間はちょっと…周防に八つ当たりした」
はぁ、とため息をつきながら、前髪を掻き上げる岩槻くん。
「ほんとは、全部俺が…ビビってるだけなんだよ」
「…ビビってる?」
一体何に。
「…前の彼女にフられたっていうのは、前に言ったろ?」
「…あー…、うん」
年上の彼女と付き合っていた岩槻くん。
別れた時は、ずいぶん落ち込んでいたっけ。
…莉恩ちゃんがふられたって話を聞いた時、真っ先に思ったのは、岩槻くんの元カノの存在だった。
「…もしかして、まだ忘れられていない、とか…?」
あたしの問いに、岩槻くんが微かに笑う。
「それはないな。
もう完全に吹っ切れてるつもり…だけど。
…どーしても、別れる時言われた言葉が、…抜けないんだよな」
「言われた言葉、って…?」
「“顔だけじゃん”、って言われた。
色々期待してたのに…実際付き合ってみたら、つまんなかったんだってさ」
岩槻くんは、たぶん笑ってる。
笑ってるけど、なぜだかあたしには…
今にも、泣き出しそうに見えるよ。