田中のくせに!!
「“人の恋路を邪魔する奴は”?」
「…はい?」
目の前には、現代文の熊井先生。
常に寝不足なのか、深いクマが出来ている瞳で、じっとあたしを見下ろしている。
「“馬に蹴られて死んじまえ”だろーが、ボーッとしてんな、アホゥ」
「いてっ」
最後にゴンッと教科書の角の部分であたしの頭をどつくと
「えー…この意味はぁ、」
まるで何事もなかったかのように、あたしの前を通り過ぎていった。
…なんだ、ただ授業に出てきただけかぁ。
一瞬、あたしに言われてんのかと思った…
ふ、と顔を上げると、あたしより少し前に座る田中と目が合って
ニヤ、と意味深な笑みを向けられる。
…別にあたし、人の恋路は邪魔してない…よね!?
ただ単に気になる、といいますか…!!