田中のくせに!!
「まどか、最近元気ないね」
「…え?そう?」
学校にて。
前の席の小夏が、机に突っ伏するあたしを見下ろして言う。
「いやー、そうでしょう!
なんか死んだ魚みたいな目してるよ、まどか!」
隣の吉川くんの席に座って、あたしの顔を覗き込むのは友梨。
死んだ魚の目って…
「…それはヤバいね」
「原因は、アレ?」
友梨の指さす方を見ると、教室の入り口のところで
田中と花凛ちゃんが、一緒にいるのが見えた。
花凛ちゃんが、何か言って
田中の腕を軽く小突く…。
「…なにアレ」
不機嫌そうに眉をひそめたのは小夏。
「なんなの、世川花凛!
いくら幼馴染だからって、彼氏いるのにボディータッチ多すぎ。
あれ?もう別れたんだっけ?」
「いや…別れてはないって言ってたよ、田中が。
今ちょっと喧嘩中ってだけで」
「ふーん」
頬杖をつきながら、二人をじっと眺める友梨。
「それで他の男に相談してるうちに、情がうつっちゃうパターンか」
「………」