田中のくせに！！

「………は？」




今日もキッチンで夕飯づくりに勤しんでいた田中は、お玉を持ったまま驚きの視線をあたしに向けた。




ふっふっふ、やっぱり当たりだ！




「幼なじみなんだって？小夏から聞いたよ」



「……ふーん」




なんだか考え込むような表情をして、ゆっくり味噌汁の味見をする田中。



ちなみに具は豆腐とワカメ。




「可愛い子じゃーん☆
田中あーいう子がタイプなんだねー」



「…別に見た目で好きになったわけじゃないから」




火を止めた田中が「お椀出せ」と命令する。



素直にそれに従いつつ、あたしは「やっぱり好きなんだー♪」と田中をからかう。




…それに対しては何も答えず淡々と味噌汁をよそっていく田中。





「で、告白はしないの？？」




「…は？」




席に着いていただきますをして早々、あたしは勢い込んでそう聞いた。




今日の夕飯は豆腐とワカメの味噌汁に焼き鮭、ご飯というザ・和食。





「…しない」



「えー？何で？」




確かに田中にはレベル高すぎるような気もするけど、幼なじみなんだし仲良さそうだったのに。




「すればいいじゃん、もったいない！
恋は当たって砕けろだよ！！」



「……」



「ったく男らしくないなー」



「…いいから黙って食べろよ」




箸を止めた田中が視線だけあげてあたしを睨む。




「…色々あんだよコッチにも」



「えー？何色々って？」




それから何を聞いても、田中は「うるさい」「黙って食え」ばかりで何も教えてくれなかった。




くそー、やっぱり田中はケチだ。



ケチ田中だ。