田中のくせに!!
「あんた…クラスメイトの名前くらい覚えなよ」
「いやー…うっかり」
普段田中としか呼ばないからカンペキに忘れてた。
パッチリ二重の女の子と何か楽しそうに話している田中。
女の子のあまりの可愛さに霞んで見える田中。
あたしは目を細めて小夏に聞いた。
「あの女の子は誰?」
「世川花凛(セカワカリン)。隣のクラスだよ、あたし同中だった」
「へぇーそうなんだ」
ほんっと可愛いなぁ。
背も小さくて、なんだか女の子って感じ。
「どーゆう関係なんだろ、田中と」
「確か幼なじみだよ、あの二人。
田中も同中だったから知ってる」
へぇー田中と小夏って同じ中学だったんだ。
そして田中にはあんな可愛い幼なじみがいたのか…
話しを終えたらしい花凛ちゃんが、田中に手を振って廊下を歩いていく。
その後ろ姿を見送る田中の視線はなんだか切なげで…
間違いない。
「…まどか何ニヤついてんの?怖いんだけど」
「ふっふっふ」
怯える小夏は放置して、あたしは確信する。
田中の好きな人って!!!
「花凛ちゃんでしょ?」