田中のくせに!!
しかしその心配は、ただの杞憂に終わった。
「お~い!周防サ~ン!!」
教室の入り口から、大声であたしの名前を呼んでいるのは…
そう、あのチャライケメン!!!
左手に握られているあたしのリボンを、ヒラヒラ振っている。
「これ忘れ物~!!」
その瞬間、クラス全員がバッとあたしを振り向いた。
“なんであのイケメンが周防のリボンを…?”
みんなの目がそう言っている。
「ちょっと!!」
あたしは慌ててチャラ男のところまで走ると、リボンをひったくる様に取り返した。
「声デカい!誤解されるじゃん!」
「ん~?どんな誤解~?
もしかして俺と周防サンが、リボンを解いて何やってたの?とか、そーゆー誤解?」
目の前でニコニコしているチャラ男。
こいつ、楽しんでる。
「ていうか何であたしの名前知ってるの!?」
「だってそれに書いてあるもん♪」
そしてあたしが持っているリボンを指差す。
「できたら下の名前も教えて欲しいんだけど~?」
「嫌」
「なんで!?」
「なんとなく!!」