よみがえれ誠の魂よ〜天つ風は何処(いずこ)へ〜
その日は、運悪く親父や兄弟、従兄弟や親戚
までも皆が揃って外出していた。
それでも女共は我が物顔で
我が家に居座っていた。
この時から可笑しいと思えば、俺は
あんな思いをすることも無かったと
気付けないまま──────
俺は女共が怖く、部屋に立てこもっていた。
その時だった。
────────ガチャ。
突然、俺の部屋のドアが開いた。
バッと振り向いて見ると、そこには
あの沢山の女共のうちの一人が立っていた。
紫「入って来るな。出て行け……!!」
何時もの様に、女を睨む。
そして、またこれも何時もの様に
竹刀を持ち─────────
だが、それは出来なかった。
竹刀が何時もの場所に無かった。
「あれぇー、紫苑くぅん、竹刀
どぉしたのぉ〜?無くしちゃったぁ??」
女がクスクスと嫌らしく笑う。
その手には、俺の竹刀。
い、いつの間に………っ!?
俺は珍しく狼狽えてしまい、
それを恐れと女は見なしたのか、
強気な態度にではじめる。
「紫苑くぅん、もしかしてぇー
竹刀無いとダメみたいなぁ〜?
折角だしぃ、皆もおいでよぉ♪」
そう言ったと同時に、居座っていた女共が
何人も何人もゾロゾロと集まって来る。
紫「ヒッ……!!くっ、来るな……っ!!!」
俺の部屋に増える女共が、
さらに近付いてくる。
今まで近くで女を見た事はなかった。
ずっと怖くて遠巻きに。
─────初めて間近で見た女の顔は、
欲望にまみれた穢らわしい顔だった────
その後、帰ってきた男共が、
尋常でない俺の姿を見て、慌てて女共を
追い出してくれた。
何だかんだ言って、親父達は俺の事を
気にかけてくれていたんだ。
そして、それから俺は、
女が嫌い、なのではなく。
女の事を恐怖に感じる様になってしまった。
どの女もあの時のあいつ等と同じ様に
見えてしまって。
違うとは思っている椿でさえにも
恐怖を感じる程に。
─────これが、俺が女嫌いな訳。
ははっ、みっともねぇよな。
紫「………だから……………椿、今まで悪かった。
俺はただ………怖かったんだ…………。」