好きって気づけよ。




「きみが、すぐに動かないつもりならさ」


「なに」


「……悪いけど、本気で俺、心愛ちゃんもらっちゃうから」




その言葉に、俺は目を細める。




「ふざけんな」


「ふざけてないよ。真剣。じゃあね~」




ひらひらと手をふり、教室を出ていく栗原。



冗談を言うように、顔は笑っていたけれど。

……目、真剣だった。




「だからって、どうすればいんだよ……」




ひとり残された教室で、俺はまた頭を悩ませた。




 :

 :

 *

 ・

 
< 245 / 356 >

この作品をシェア

pagetop