好きって気づけよ。




明るい笑顔を見せる心愛に、恋愛的な意味はふくまれていない。


それがわかっているから、期待するつもりはない。



それでも好きな女からそういうことを言われると、舞い上がるにきまっているわけで。




「……あほ」




自分の顔が少し赤くなった気がして、顔をそむける。




「あ。凪くん照れてる!」


「照れてねぇ」


「今度は絶対そうだ! 耳赤いもんっ」


「…………」




サト先輩のように、心愛に対して積極的になる勇気は、いまの俺にはないから。


いましばらくは、この天然で無知な幼なじみに、無自覚に翻弄されるだろうと思う。



悔しいけど、惚れた弱みってやつ。



……でもいつか絶対、立場逆転してやるから。




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