好きって気づけよ。




「……なら俺は、お前だけの王子さまになりたいよ」


「へ? 私だけの? どうして?」


「……うん。そういう反応するよな。
大きな意味はないし、忘れていいから。っていうか忘れろ」




案の定、きょとんと不思議そうな表情を見せた心愛から、俺はぱっと視線をはずした。



俺、なに言っちゃってんだよ。


言ったあとから、きざっぽいそのせりふがはずかしくなる。



まあ心愛は当然、意味を理解できないから、いいんだけど。




「じゃあ、忘れるね? ところで凪くん、今日も私の部屋で勉強するよね?」


「あー……うん」


「そっか。うれしい!」



 
< 75 / 356 >

この作品をシェア

pagetop