落雁
「おっまえまじで馬鹿なんじゃねぇの」
そう。この間あたしが連れ去られたマンションの前に来たところだった。
白髪風金髪は丁度そこから出てきたところだったのだ。
「おー!ナイスタイミング!お前探してた!」
「まじでがちで馬鹿なんじゃねぇの」
「さっきからそればかりだな」
極限に顔をしかめて、そいつはあたしを見下ろしていた。
「普通、わざわざ敵地に向かうか?しかも1人で」
「敵地?ここが?別に敵地じゃねぇよ」
ただ、むかつく集団が居る場所なだけで。
「てめぇこの前死にそうになってたんだぞ」
「あぁそれな、あたし肋骨ヒビ入ったんだぞ、超痛いわ」
「いや…そうじゃなくて…」
今度は眉を寄せ、あたしを汚いものでも見るような目を向けられる。
「前回運よく逃げられただけで、お前は俺らから目ぇつけられてるって分かんねぇの?」
「じゃあなんであんたはあたしをボコんないの?」
「あまりに急に現れすぎてびっくりしてんだよ」
そこであたしは本題を思い出した。
そうだ、司。
「お前、司がどこに居るか知らない?」
金髪が黙った。
「沈黙は肯定?」
「ちげぇよ。てかお前、なんで司と親しいんだよ。1番司が苦手なタイプだってのに」
「司はどこに居んの」
ぐい、とリボンを掴まれた。
自然と体が引き寄せられる。
「お前さ、どこのどいつか知らねぇけど、あんま調子こくな。俺たちに関わるな。鬱陶しい」
「あたしが聞いてんのは、司のいるところ」
腹に力を込めると痛い。
だからあたしはそいつに力無くぶらさがるだけ。
汲み取れ、金髪。あたしには反抗する意思はないぞ。
「…てめぇ、司といつ出会った」
「…いつ?どうだろ、冬になったとこくらいかなぁ…」
ぱ、と離される。
「じゃあ、てめぇが影響か」
「影響?誰の?」
「司、最近おかしいんだよ。それも全部てめぇの影響だなって話だ。…着いて来い」
「まじか!金髪やっぱ司の場所知ってるんだな」
そういうと、金髪は不機嫌そうに顔をしかめた。