※誘惑危険地帯※

キャンプ>>7


ー朝。
透き通るくらいの綺麗な空。
透き通るくらいブラックの私の心。

「はぁ・・・」

「どうした?ため息なんかついて」

「あ、宏貴くんっ!」

「お、お前目が腫れてるぞ?!」

あ、多分昨日泣いたせいだ。
一晩中泣いて
一晩中怯えて
一晩中あいつのこと考えてた。

「えへへ・・・」

宏貴くんは私が無理に笑ってるということを察してくれたのかあまり泣いてたことに口を出さなかった。

宏貴くん・・・。

「あぁー駄目だな私っ」

「え?」

「昨日いくら疲れたからって元気がないのなんて・・・逆効果だよね!!!!」


私はその場を明るく振舞った。
笑顔は作るものじゃない。
でも、これ以上宏貴くんに心配をかけるのは絶対に嫌だ。

「大丈夫か?お前辛そう」

やめてよ、宏貴くん・・・。
そんなこと言われたら私・・・。
また、泣いちゃう。
心配かけちゃう。

宏貴くんは優しい。
だから心配かけたくないんだ。

「だ、大丈夫だよ!」

「何かあったらすぐ言えよ?」

ほら。
私はこの優しさに弱いんだ。

「うん・・・ありがとう」

きっと私は情けないんだろうな・・・

目頭が熱くなった。

「うぅ・・・ふ・・・」

泣かないって決めたのに。

もう、泣かないって決めたのに。

ぎゅっ。

誰かが私を後ろから抱きしめた。

「ほら」

優しくて温かくてこの声。

「宏貴くん」

「梨々香は本当にバカだな」

「な、なによ・・・」

バカでも誠が言うバカと宏貴くんが言うバカは全然違った。

「泣いていいよ。見ないから・・・」

「こ、こう・・・く・・・」

私は昨日の恐怖を宏貴くんの胸で訴えるように泣いた。

怖くて痛くて・・・。

マイナス感情ばっかりで・・・。

「なぁ」

「うぅ・・・な、何?」

宏貴くんは顔を私からそらした。

「俺達付き合ってみないか?」

思いがけない言葉に私は唖然する。

「・・・・・・?」

「え?!」

いつの間にか涙は止まっていた。

「こ、宏貴くん・・・」

「本気だから」

「でも、中学から好きな子いるんでしょ?」

私はとっさに聞いた。
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