※誘惑危険地帯※

俺じゃダメか?

誠がベッドから立ち上がろうとした瞬間

ードス。

「きぁっ!」

「いってぇ」

「それはこっちのせり…ふ…」


え?


何この体制?!

なぜこうなったんだ?

頭の横で両手を掴まれて足の間に誠の足が…

「ちょっ、どいてよ!離してっ!」

誠はちょっと悪笑いをした。

「な、何よ?!」

「どいてほしいか?」

「ほしいです」

ここは素直に…。

「じゃあ、キスしろ」

「は?」

唇を悪ぶったように片方にあげた。

「意味わかんないんだけど?!
やめてよ!そうやってもてあそぶの。いくら幼なじみだからってやっていいことと悪いことぐらいあんのよ!」


「俺本気だけと?」

「え?」

さっきの笑いとは別のちょっと真剣な表情。

かぁぁぁぁぁ

私の顔は一気に熱くなった。

そんな目でみないでよ!


「俺前も言ったよな?お前のことが好きだって」


そうだ。


誠私に告ってたんだ。



「私、宏貴くんと付き合ってるの…」


誠は優しく両手を開放してくれた。


「…れろ」


「なんか言った?」


「別れろよ!」


思いがけない言葉に唖然した。


「誠?」


「俺じゃダメか?」

いまにも泣きそうな表情で真剣に私の目を見つめてきた。


「俺がお前を幸せにしてやるから」

「でも私…」

言葉が出てこない。


宏貴くんが好きなのに。


好きなのに…

好きだけど…。

気づけば私は誠の胸の中で泣いていた。

誠は私の頭を撫でてくれた。

顔も見ずに…

ただただ私の頭を撫でてくれた。


誠は優しかったんだね。

「まこ…と」

私は誠の名前を何度も何度も呼んでいた。
< 39 / 45 >

この作品をシェア

pagetop