今昔狐物語
「お嬢さんが善狐…?狐?」
「ただの狐じゃないのよ。お狐様とお呼びなさいな!」
目くじらを立てて頬を膨らます目の前の彼女はどう見ても狐ではなく、愛らしい人間の少女だ。
青年はプッと吹き出して上品に笑いを噛み殺そうとしたが失敗した。
「あっ!笑ったわね!?」
「くくっ…だって、狐って……はははっ!」
「私の言葉を信じないなんて、失礼な人」
「ああ…ごめんね。お嬢さんがあまりに面白くて…ふふっ。いやでも、そうだな」
青年は笑いをおさめるとジッと可愛の瞳を見つめた。
「君が題材になってくれるという提案は、嬉しいかな」
ふわり――彼は微笑む。
その優しい表情に可愛の胸は無意識にトクンと高鳴った。
「なってくれるかい?」
「もちろん!」
満面の笑みを浮かべて承諾すれば、桜も風に吹かれ嬉しげに高く舞った。