恋雫(仮)
「あら、二人とも知合いなの?」

愛歌の問いに二人は頷いた。
「佐藤くんとは一年生のとき、同じクラスだったんです」
敦尉は居心地悪そうにドアの前に立っている。
「あっくんたらそんなトコ立ってないでコッチくれば?」
「あっくんって呼ぶなよ」
楽しそうな愛歌と対照的に、敦尉は不機嫌そうな表情になり、今度は深結が居心地悪く感じた。そんな空気を壊すように廊下から敦尉を呼ぶ声が聞こえ始めた。
「アツ~靴足りないよ~」
開いたままの部屋を覗いた人物に深結は再び固まった。
「な、なんで…ARIKAさんが?」
「あら、深結ちゃんはARIKAちゃんのこと知ってるの?」
「知ってるも何も…今、いちばん雑誌に載ってるティーンモデルですよ!」
愛歌は、出会ってから一番テンション高く話す深結が可愛いと思った。
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