花とミツバチ



この前は結局彼の家に一晩泊まってしまったわけだけれど…同じベッドに寝て、朝起きたら朝ごはんを作ってくれる彼がいて





『おはようございますっ、藤田先輩』

『お…おはよう。ごめん、寝すぎた』

『いーえ、今ちょうど起こそうとしてたところです』

『千葉くん、意外と早起きなんだね』

『一回目が覚めたら眠れなくなりまして…』



あはは、と笑って私の前髪を撫でて寝癖を直してくれた。

あの人と迎える切なさばかりの朝とは違う、穏やかで幸せな朝だと思った。



それからはまた相変わらずの毎日で、一応恋人の先輩と後輩であることには変わりない二人。

だけど、私の心の中での彼の存在が変わったことだけは確か。





『…こんな俺の勝手を許す先輩も、最低とは言わないですよ』





彼の言葉を体温を、思い出すだけで

心の奥があたたかい




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