花とミツバチ
「…あの、先輩。そろそろ呼び名、変えませんか?」
「呼び名?」
「『千葉くん』って、何だか他人行儀じゃないですか」
「…それは寧ろそっちでしょ」
「へ?」
「『藤田先輩』だし、敬語だし」
「……」
ほらこうしてまたひとつ、互いに触れる。
「梓さん。俺のこと、名前呼んで」
「晴人、くん」
「…呼び捨てでいいのに」
赤い頬をして笑って、幸せを噛みしめる。
「梓さん、今日もうち泊まる?ていうかいっそ一緒に住もうよ」
「調子に乗らない」
「えー?ダメ?」
「…考えとく」
甘い、甘い蜜。
その甘さを知った俺は、今日もその蜜に口付ける。
あなたという花に、とまるミツバチのように。
end.


