幼馴染の窓 R18
その日、俺は、母親にお使いを頼まれた。
いつものことだ。
お隣の矢田さんちに、今日は野菜を持っていけと言う。



集合住宅では、近所づきあいは思いの外大切らしい。
集合住宅といっても、新しくできたベッドタウンの一つで、一軒家の集まりである。
隣同士の間隔は非常に狭いため、下手に大声など出すと、内容が筒抜けだったりする。


俺と矢田家の娘、咲が同い年なこともあって、俺の家と矢田家は付き合いが長く、深い。
同じ集合住宅内に同い年の奴は何人かいるが、やはり咲以上に仲のいい奴はいない。



小さい頃から何をするにしてもずっと一緒だった。
いつだって、俺の家の、咲の部屋に一番近い窓から呼べば、話が出来た。
咲は、俺が呼ぶ度、「なあにー!」と、ちょっとめんどくさそうに、でも、部屋にいるときは必ず顔を出した。



小学生の頃、俺は咲にべったりだった。
人見知りする俺には、咲の存在が何より頼りにできるものに見えたのだ。
対して咲は、誰に対しても分け隔てなく、優しかった。
何より、いつも元気だった。
雪が降ると殊更だった。
だから、俺は、冬が好きだった。



高校にあがって、初めて咲のいない学校生活を送った。
それなりに充実してた。友達も出来たし、高校で一番かわいい女の子と一緒に帰って得意になったりした。

でも、やっぱり、窓から咲を呼んだ。






今、隣の家の窓に映った咲。
あんな咲、俺は知らない。
咲に手渡すはずだった野菜を、俺は気づけば咲の家の玄関に落として帰ってきていた。

「野菜、矢田さん、喜んだ?」
なんて、母親が声をかけるのも無視して、俺は自分の部屋に戻った。



あれ、何が、起こったっけ。
なんで、咲、「なあに?」って、出て来ないの?
なんで、咲、俺の見知らぬ男といんの?
なんで、咲、その男と二人で窓際にいたの?
なんで、咲、裸なの?


ーなんで、咲、その男と、ヤってんの?
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