幼馴染の窓 R18
おかしいとは思った。
猫のような鳴き声が咲の家から聞こえたから。


高くて、甘い、声。
少し胸が疼くような、壊してしまいたくなるような、はかない声。


あれ、猫、いなかったよなあ。
風の音かな。
なんて、ばかなことを思ってた。


少し外に出ただけだと言うのに、指先があっという間に冷たくなっていた。
空はどんより曇って、太陽を覆ってた。

咲の家について、チャイムを押そうとして、窓に影がゆらめいたのが見えた。


咲?と思わず声にして窓を見た。
彼女は、窓に手をついて、豊かな胸は、苦しそうに張り付いていた。
後ろには見知らぬ男がいて、彼女の肉付きの良い腰に、自分のものを突き刺し、前後に揺さぶっていた。


「ん…っ!あ、…っ、あー!ん…っ!」
猫の、啼き声が、どこからか、わかった。



彼女の開けている口から、舌が少し見えた。
唇が少し光って、吐息が窓を曇らせた。


彼女がこぶしをにぎりしめ、開いて、次に、そっと目を開いたとき、初めて目が合った。


その時の彼女は、漫画のように、目を丸くして、男に何かを言った。
男は、俺を見て、にやりと笑い、そのまま腰を引いて数回、打ち付けた。
彼女の体は数回跳ねて、くたっと床に落ちた。

そして、そのあと、二人は幻だったかのように、素早く、窓から消えた。



そして、ドアが開いた。

彼女…咲は、唇を開いたり、結んだり。
さくらんぼのように赤かった色は、どす黒い紫色になっていた。
先ほど張り付いていた胸は、バスタオルの中でまた苦しそうに寄せられていた。


12月初旬である。
バスタオル一枚で出てくるなんて、阿呆ではなかろうか。
そんなに震えて、馬鹿じゃないか。


…出て来なければよかったのに。
出て来なければ、あれは、幻の映像だったかも、しれないのに。



なのに阿呆で馬鹿な咲は、先ほどの猫の声とはうってかわった声で、でも、少し高くて、包み込むような、いつもの、声で、

「言わないで…」

と言う。


かけたい、浴びせたい、言葉は、山ほどあった。



言えるわけねーだろ
誰に言われたくないんだよ
家族今いないからって男実家にあげるなよ
誰もが見えるような場所でヤるなよ
てか、その男誰?


全部、言葉にならなかった。
そんで、逃げ出した。


部屋に篭った。
でも。
咲の裸ばかりが目に焼き付いて、体が反応した。
あの、唇、胸、腰。
どれだけ、柔らかいんだろう。



女の子に、触れたことがないわけじゃない。
好きじゃなくていいから、付き合って、と言われた女の子相手に、一年生のときにヤった。

経験不足が大きいだろうが、痛そうにするその子のことを思いやれなかった。



女って。
あんな、声、出るんだ。
つくりもののAVだからだ、と思ってた。


クッションをベッドに投げつけたが、そのまま跳ね返ってきただけだった。
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