トリプルトラブル
 家の前の道路をジョギングしていた人がいた。
これ幸いとばかりに、スーパーの場所を聞いた。


「大体の物はこの近くにあるドラッグストアで間に合うけど、スーパーは此処から歩くと三十分位かな?」

そう言いながら大きな看板のある建物を指差した。


「あれがスーパーだよ」


「ありがとうございます。あの看板を目指してみます」

私達は会釈してその看板を目指した。


その途中にある近所のドラッグストアにもよってみた。
豆腐や牛乳パンなど、日常生活に困らない程度の物は大概揃っていた。


でも目的はそれではない。
髪を黒く染めるための製品選びだった。


「いずれ必要になるからね」
私はそう言いながらヘアカラーをカゴに入れた。




 又ボールに玉子を割り入れる。

その中にスーパーで買ってきた材料を入れた。


キャベツとイカ揚げ玉に玉子ネギ。
それに小麦粉。
それらをホットプレートの上に並べた。

暫くすると、大阪名物。
イカ入りお好み焼きの出来上がり。


スーパーで言われたんだ。
大阪のお好み焼きはイカが入るって、ソースも独特なんだって。
そのソースの上にたっぷりマヨネーズを掛けるらしい。
ウチの田舎じゃ絶対にやらないけどね。


でもみんなで試してみようってことになった。

そしてお好み焼きパーティーが始まったのだ。




 夕飯はそのホットプレートのもう一枚で焼き肉。
お好み焼き用は平らで、此方は波板だった。


「さっきのでホットケーキもフレンチトーストも出来そうですね」


「プレート二枚を活用したらみんなでワイワイ出来るね」

大君が言ったら、全員が頷いた。


「良し、とりあえず一週間頑張ってみよう」


(――一週間? 直樹君と秀樹君のお母さんの七回忌までか)

その日が来るのが本当は怖い。
嘘がバレるから……
きっと直樹君に呆れられると解っているから。

私は悔いのない毎日を過ごそうと思いながら、三人の横顔を見つめていた。




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