約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く

「総司、わかった」


ずっと私も悩み続けた。
歴史を知識と言う形で知っている私。

今までも、どれだけ歴史が代わって欲しいと願いながら思い続けても、
その歴史は変わることはなかった。


だけど……こんな風にも考えられるかもしれない。

総司たちが、新選組の仲間たちが歩き続ける道は波乱の道で、
あまりにも険しすぎる。

だけどその歴史を受け止めたうえで制一杯、後悔のないように生き抜くことができるのなら、
それはそれでいいのかもしれない。


そんな風にも思えた。


私は花桜と舞の目をまっすぐに見ると、
ゆっくりと笑顔を作って視線で頷く。

すると私の想いを受け止めるように、花桜と舞もゆっくりと首で頷いてくれた。


「私が話すこれからの出来事は、総司には残酷だよ。
 だけど……私は、総司に生きて欲しいから。

 布団の上で、生きて死んでるようなことにはなって欲しくないから……」



そう……油小路の変が終わった、あの夜のような総司をもう見たくないから。


「油小路の変が終わった後、高台寺党の生き残りに近藤さんは肩を撃たれるの。
 近藤さんはその時の負傷で、その後の戦いには出られないわ」

「まだ……僕たちは戦い続けるんですね?」

「戦う。だけど……もう江戸幕府はない。
 もうすぐ……立場が逆転するの……」

「……僕たちは……新選組は賊軍になるとでも言うのですか?」

「向こうには、錦の御旗が立つから」

「錦の御旗……」


総司はその現実にショックを隠し切れないみたいだった。


「瑠花……僕は?」

「総司は……」


言いかけた私の言葉を遮る様に「いやっ。いいです……。考えればわかることですね。先の戦いに出られなかった私が今のこの体調で、
その戦に出られたとは思えませんね」。


そう呟いた総司は、必死に自分に言い聞かせているように思えた。


「総司……」

「瑠花、その近藤さんが撃たれるのは何時ですか?
 昔の僕はその事実を知りませんでした。

 ですが今の僕は瑠花の話によって、その未来を知るところとなった。

 どうせ……次の戦いに出られないのなら、
 このままここに留まっていても、僕は生きながら死んでいるのと変わりません。

 僕は僕らしく生きたい。
 その日を教えてください」

< 126 / 146 >

この作品をシェア

pagetop