約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く


そう……そしてその頃、良く見ていた
白装束の人の夢。


それを最近、良く見るようになってるのも確かで。
そんな夢が引き金となって不安は募っていく。



「そう言う話だったのか。

 山南さんは、優しいだろう。
 あの人からいっぱい、学べるものを学べ。

 学識も、精神面も高い」

「はいっ。

 山南さんと過ごす時間が増えて私も昔に比べて、
 少しずつ成長できてる気がします」

「まぁな。

 屯所に来た当初は、弱っちぃ役立たずだったが
 最近は多少はマシな顔してやがる。

 そんな山波に任務を与える」


急に『任務』と言う言葉にピクリと体に緊張が走る。


「山南さんが見えねぇ。

 あの人の心が何処にあるのか、山波花桜。
 偵察して、報告しろ」


山南さんの心?


そう言われても私も見えてない。


「山波、返事をしねぇか?」


荒げられた声に、慌てて「わかりました」と
反射的に声を返した。


「用件は終わりだ。
 任務に戻れ。

 その間、屯所内の仕事は他の隊士にも手伝わせる。

 山波は山南さんの傍にはりつけ」



厳しい物言いだけど土方さん公認の元、
山南さんと堂々と一緒の時間を過ごせる。


それは私にとっては、やっぱり嬉しくて。


慌てて土方さんの部屋を一礼して飛び出すと、
続きの掃除を終えて、瑠花に「山南さんの傍で、お世話することになった」っと
実際とは少し言葉が違うけど報告して私はその部屋へと訪ねた。




「山南さん、山波です」



朝から姿を見せた私に山南さんは机から視線をあげた。



「本を読んでいたんですか?」

「えぇ」



そう告げた山南さんの顔色は
少し疲れているように青白くて。


「山南さん、眠れないんですか?」


恐る恐る問いかける。



「そうですね。

 薬師から薬は頂いていますが、
 眠れない日々が続いていますね。

 昔の出来事を何度も夢にみます」



昔の出来事を夢に見る?


深く入り込みたいけど、入り込むにも勇気が必要で。


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