約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く



「おっ、舞。
 ようやく上がって来たか?
 待ちくたびれたぞ」



そう言って横たえた体を持ち上げると、
そのまま、私の手をひいて外に出る。


外に出ると、今度は別の店へ。


別の店でも顔を出しただけで晋兄は有名人なのか、
そのまま店の人たちは、晋兄を座敷へと案内した。


行く先々で、沢山の女の人を呼び寄せて
お酒をあびるように楽しむ晋兄。


そんな晋兄の傍には仲のいい人なのか、
一人、また一人と酒飲み仲間が集まっていく。


女の人たちは、御酌をしたり舞を披露する。



そして時折、晋兄は三味線を片手に
唄を歌いながらその音色を披露する。



そんな派手な日々が何日も続いた。




晋兄がやろうとしてることだから、
私は何があってもついていくって
決めてるけど……だけど、
それは私を不安にさせることでもあった。




だって、今の晋兄はお尋ね人だよ。



モトさんのところにも、
身を隠すために立ち寄ってたはずなのに
本当に、こんなに目立つことしていいの?



そんな不安を抱きながらも、
晋兄から離れたくない私は
晋兄に言われるままに
毎日のどんちゃん騒ぎに付き合う。




そしてそんな晋兄の豪快な遊び方を見つめながら、
あぁ、これが長州のお役人さんたちを泣かせた
晋兄の男の遊びなんだなーなんて思った。



だけど、ただ遊んでいたように見えた晋兄の行動が、
晋兄的にはすでに戦いが始まっていたのだと知ったのは、
それから数日後。




「悪いな。
 ちょいと一博打してくる」



その日もいつもと同じようにお酒を飲んで、
三味を奏でて遊んでいたはずなのに
突然、晋兄はムクっと立ち上がって
そう言うと慌ただしくその部屋を後にする。



慌てて私も晋兄の着物の袖裾を掴む。



「晋兄」

「舞、遊ぶわけじゃない」

「別に遊ばなくていい。
 晋兄と離れたくない。

 もう何も知らされないのは嫌なの」


そう言って、めいっぱい叫ぶと
晋兄の大きな手が私の頭くしゃくしゃと撫でた。



「着いて来い」



晋兄に手をひかれるままについて行った先で、
私が出逢ったのは後の歴史の教科書で名前を知ることになる
山県有朋。


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