約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く


「一理あるな。
 その結果がこれか」


斎藤さんは、溜息と共に吐き出すように告げると
手にしていた蝋燭を私の方へと向けた。


「岩倉、隠したものを前に出せ」


気まずいながらもこれ以上、
誤魔化すことは出来ないとしぶしぶ手を前に出す。


「すいませんでした」


謝罪で許して貰えるとは思わないけど
だけど……ありきたりな言葉を添えて。


「まぁいい。
 中身が見たいのだろう」



そのまま、書き綴られた文章が読みやすいように
蝋燭の炎を近づけてくれた。


蝋燭の灯りが書き記された文字を浮かび上がらせる。


綺麗な文字で綴られたその中身は読める範囲で読んだ感じだけど、
史実に伝わる、非行五箇条の内容に近いものが書き続けられていた。



「やっぱり……」




脱力するように床にぺたりと座り込む。
そんな私を花桜がしゃがんでケアする。




「山波、岩倉。
 それ以上は深入りするな。

 もう満足だろう。
 これは戻しておこう」



そう言って、私の手から斎藤さんはその紙を抜き取ると文机の上に置く。



「あの……どうしてこんなことするんですか?」



問いかけた花桜の言葉に斎藤さんは、
すぐに言葉を続けた。



「友を思う心があればこそ」




友を想う心。




そうだ……試衛館がキーワード。




仲間であって家来じゃない。
友であって家臣じゃない。




「信じていいんですか?」




真っ直ぐに斎藤さんを見据えて告げる問いかけ。




「無論だ」




そうやって、この一件の全てを斎藤さんに託すことになった私たち。





数日後、正装姿で会津公に目通りした六名の隊士たちは
建白書を提出。


その後、史実通りに近藤さんが呼び出されたものの、
会津公の仲介で無事に和解することとなった。

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