約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く


「帰りは歩いてもらうよ。
 この場所は瑠花の席だから」



そんなことを言いながら馬をゆっくりと走らせ始めた。


その夜は手配してもらった宿で泊まって、
翌朝、船着き場で瑠花がのっている船が辿り着くのを待った。




何隻も慌ただしく行きかう船を見送って、
ようやくゆっくりと入ってきた船。


船が止まると忙しくなく積み荷を運びおろしていく中、
瑠花が誰かにゆっくりとお辞儀をして下船してくる。




「瑠花ぁー」


思わず大きな声で呼ぶと、
私に気がついた瑠花はまっすぐに駆け寄ってくる。


「花桜、総司~ただいまー」

「おかえり、瑠花」


沖田さんよりも先に女の友情宜しく抱き着いた私。


その後は、じっくりとお互いの温盛を感じあう様に、
沖田さんと瑠花は抱きしめあった。



「お帰りなさい……瑠花」


そう言って、瑠花を見つめる沖田さんは凄く柔らかい貌をしていた。




大坂から今日に戻る際も瑠花はずっと馬の背にまたがっていて、
私と沖田さんが歩きながら京を目指した。


西本願寺。
屯所内の久々の二人の部屋へと入った瑠花は、
荷解きをして、何かを私に取り出した。


「はいっ。
 こっちは山崎さんから花桜へ預かってきた」


差し出された箱の中に入っていたのは、
螺鈿細工が施された簪。



「うわぁー、綺麗」


思わず、その簪を手に取って抱きしめる。

< 88 / 146 >

この作品をシェア

pagetop