約束の大空 2 【第三幕完結】※約束の大空・3に続く

65.ただいま。京~変革の日々~ -瑠花-



盥【たらい】の中にある洗い物を終えると、
玄関の外に出て、「あぁ~」っと大きく伸びをしながら真っ青な空を眺める。

こんなにも長く京を私が離れることになるなんて思いもしなかった。


近藤さんたちの広島行きに便乗して、京を離れて舞を探した私。

舞を知る人には会えたけれど肝心な舞には会えず、
手紙を託して再び広島へと戻った。

私を萩へと連れて行ってくれて、広島へと送り届けてくれた商人さんにお礼を言って離れた後も、
京に帰ろうにも帰る手段が思いつかず、私はまた神社やお寺の一角を借りて、雨や夜をしのぎながら
情報収集にいそしむ生活に戻った。

広島に戻って8日ほど過ぎた時、薩摩と長州が繋がったとか長州入りを果たすことが出来ずに、
二度に渡って広島へと来た幕府方の使者の中の誰かがお戻りになられたのだと町人たちが噂しているのを耳にした。

町人たちも、これから幕府と長州がどうやって進んでいくのか、
自分たちが暮らしている広島はどうなってしまうのか気になりすぎて様々な情報源の元、噂話が広がっていた。


そんな噂の中で、私が警戒したのが、幕府方の使者の中で分裂が起きているかもしれないと言う噂話。
何でも一緒の船で来たにもかかわらず、広島に着いたとたんに別行動をしている人たちがいるのだと言う話だった。



そんな噂話を耳にしてしまうと、幕府方の人たちに連れてきてもらった私には気にならないはずもない。


お世話になっている新選組に何か良くないことが……。
そこまで脳裏に浮かべて、私は大好きな歴史の知識を辿っていく。


薩摩と長州が繋がった。
それが本当のことなら、1866年の1月。

その後に続くのは、夏前に始まる第二次長州征伐、将軍家茂の死、新選組から伊東甲子太郎と藤堂さんが離脱、
伊東さんたちを暗殺して、近藤さんが仕返しに撃たれて、賊軍扱いで戊辰戦争で敗北。

ザクっと思い出すだけでも、身震いしてしまうほど物騒なことだらけ。

歴史を振り返るドラマの中では、サラっと僅か一時間とかで終わってしまう内容も、
今の私は実体験するわけで……TVの中や、本の中の出来事だけで終わらない。


ちゃんと今出来ることを考えなきゃ。
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